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弁護士はホームページに専門分野や得意分野を表示できるか?

ホームページの画像 弁護士の独立

弁護士がホームページを制作する際に気になることの1つとして,ホームページ上に専門分野や得意分野を表示することが許されるか否かが挙げられるのではないでしょうか。

本記事では「弁護士がホームページ上に専門分野や得意分野を表示することができるのか」について,弁護士の広告に対する規制を検討しつつ,考察します。

弁護士の広告規制とは何か?

そもそも弁護士にはどんな広告規制があるのでしょうか。

これについては,次の記事で詳しく解説しているので,ご確認ください。

弁護士がホームページを制作する上で気にしなければならない広告規制に関する規程は次の通りです。

そして,弁護士等の業務広告に関する規程では「広告」は,次の通り定義されています。そのため,弁護士のホームページは基本的に「広告」に該当します。

弁護士又は弁護士法人が,口頭,書面,電磁的方法その他の方法により自己又は自己の業務を他人に知らせるために行う情報の伝達及び表示行為であって,顧客又は依頼者となるように誘引することを主たる目的とするものをいう。

弁護士のホームページと専門分野

では,上記の「弁護士等の業務広告に関する規程」や「業務広告に関する指針」との関係で,弁護士がホームページ上で専門分野を記載することは,広告規制に抵触するでしょうか。

業務広告に関する指針に明確に記載されているので,弁護士のホームページに課される規制を検討したことがある人なら知っていると思いますが,正解は次の通りです。

弁護士は,ホームページ上に「専門分野」と表示するのは避けた方が良い。

専門性の有無を判断する客観的基準が現時点では明確に存在しないことを理由に,「専門分野」との表示は規制されています。

ちなみに,専門家であることを意味するスペシャリスト,プロ,エキスパート等といった用語の使用についても,「専門分野」と同様,避けるべきとされています。

弁護士のホームページと得意分野

上記の通り,弁護士のホームページにおいて「専門分野」という表記を行うことはできません。

それでは次に,弁護士のホームページにおいて「得意分野」との表記を行うことは許されるでしょうか。

意外に思われる方も多いと思いますが,弁護士の広告規制との関係では「得意分野」は,基本的に使用が許されています。理由は,次の通りとされています。

得意分野という表示は,その表現から判断して弁護士等の主観的評価にすぎないことが明らかであり,国民もそのように受け取るものと考えられる

個人的には,「専門分野」と「得意分野」とで,前者が客観的評価,後者が主観的評価であると一般的に理解されているわけではないようにも思います。しかし,現状は弁護士の制作するホームページでは「専門分野」との言葉を使用してしまうと広告規制に抵触する一方で,「得意分野」と表示することは許されています。

ホームページにおける広告規制と「積極的に取り組んでいる分野」

上記の通り,弁護士のホームページにおいて,広告規制との抵触を避けながらアピールしたい業務分野を示すためには「専門分野」ではなく「得意分野」と記載する必要があります。

しかし,得意分野という表示についても,主観的評価であっても,得意でないものを得意分野として表示することは許されないとされています。

「どこまで誠実に表示を行うか」にもよると思いますが,得意分野でない業務領域の仕事を積極的に受けていきたい場合には,「得意分野」と表示するのではなく,「積極的に取り組んでいる分野」と表示する方が良いかもしれません。

広告規制と最大級表現など

最後に,余談にはなりますが,弁護士のホームページに関する規制と最大級表現等の関係を記載したいと思います。

ホームページなどの広告においては,次のような表現を使用したいと思う弁護士が多いと思います。

  • 依頼された仕事はパーフェクトにこなします。
  • 信頼性抜群の弁護士●にお任せください。

しかし,次の用語は広告規制との関係で,弁護士のホームページ等の広告では控える必要があるとされています。

  • 「最も」や「一番」などの最大級を表現した用語
  • 「完璧」や「パーフェクト」などの完全を意味する用語
  • 「信頼性抜群」や「顧客満足度」などの実証不能な優位性を示す用語
  • 「常勝」や「不敗」などの結果を保証又は確信させる用語

思わず記載してしまいたくなる表現もあるので注意が必要です。

最後に

本記事では,弁護士がホームページに専門分野や得意分野を表示できるか否かを検討しました。

個人的には,専門分野と得意分野とで,読み手に与える印象が大きく変わるとは思えませんが,現状では専門分野の表記は許容されず,得意分野の表記は許容されています。

弁護士がホームページを制作する場合には,このような広告規制に十分に配慮する必要があります。

広告規制については,次の記事もご参照下さい。

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