弁護士が個人受任の案件数を増やすための集客方法の考察

弁護士の転職

将来的に独立することを想定している勤務弁護士や,独立までは考えていないけれど自分で案件を拾ってきて売上を増額させたいと考えている弁護士にとって鍵になるのが個人受任だと思います。

本記事では,本記事の執筆者が弁護士の方にヒアリングを行った経験を踏まえ,勤務弁護士や企業内弁護士(いわゆるインハウス)の方が個人受任の案件数を増やすために取るべき集客戦略を考察したいと思います。

弁護士による個人受任の契機

当然のことではありますが,弁護士の方が個人受任の数を増やすためには,個人受任の「きっかけ」を増やす必要があります。

弁護士の方の個人受任の「きっかけ」としては,次のような経路が考えられます。

  1. 公的機関における法律相談対応からの受任
  2. 同業者からの紹介による受任
  3. 他士業からの紹介による受任
  4. インターネット経由での問い合わせによる受任

この他に,事務所事件で対応した依頼者から,別件について個人受任を依頼されることもあります。もっとも,このような事務所事件派生案件については事務所事件として扱うこととする事務所もあるようです。

個人受任の契機1)公的機関における法律相談対応からの受任

個人受任のきっかけとなる1つ目が,公的機関における法律相談等の対応だと思います。

弁護士会が開催しているものや,市区町村が開催している法律相談に対応する中で,個人受任案件を獲得できる可能性があります。

こちらの法律相談経由での個人受任の案件数を増やす方法は,①法律相談の機会を増やすことと,②受任効率を上げることと考えられます。

このうち①の方法は時間等のリソースの限界があります。

したがって,②受任効率を上げることが重要になるといえそうです。

個人受任の案件数を増やしたい弁護士の方は,受任の可能性が高い法律相談に優先的に対応することによって②を実現できる可能性があります。

たとえば,有料の法律相談であれば,一定の料金を払ってでも弁護士に相談したい問題を抱えていると考えられることから,比較的受任の可能性が高いといえると思います。

個人受任の契機2)同業者からの紹介による受任

個人受任のきっかけの2つ目が,同業者からの紹介による受任です。

弁護士会における委員会活動に真摯に取り組むことにより,このような同業者からの紹介による個人受任の数を増やせる可能性があります。

本記事の執筆者がヒアリングした弁護士によれば,このような同業者からの紹介による個人受任の可能性を高めるためには「なぜ弁護士が,自分以外の弁護士に案件を紹介するのか」を理解しておくことが重要であるとのことです。

弁護士が自分以外の弁護士に案件を紹介する理由は「依頼を受けた案件が,自分の専門分野ではなく,かつ,紹介する弁護士の専門分野だと聞いたこと」ではないでしょうか。

したがって,個人受任の案件数を増やしたい弁護士の方が同業者からの紹介による個人受任の可能性を高めるためには,会務等を通じて知り合った弁護士に対して自己の専門分野をアピールしておくことが重要です。

最低限,「あなたが得意なのはどういった案件なの?」という問いにはすぐに答えられるようにしておくことが重要です。

個人受任の契機3)他士業からの紹介による受任

個人受任のきっかけの3つ目が,税理士の方や社労士の方などの他士業からの紹介による受任です。

税理士の方や社労士の方といった近接領域の専門家は,専門家一人あたりにおいて,弁護士よりも通常多くの顧問先を抱えています。

このような他士業の方にとっては,顧問先の事業者が法的なトラブルに巻き込まれた場合に紹介できる弁護士がいる方が顧問先からの信頼を得られやすい傾向にあると考えられます。

このような理由から,これらの近接領域の専門家は,紹介できる弁護士を求めている可能性が高いと考えます。

弁護士としては,自分の顧問先の税務相談や労務相談について,(仮に自分の力で対応できそうなものであったとしても)このような近接領域の専門家に紹介することで,将来的に法的トラブルへの対応の紹介を受けることができる可能性があります。

個人受任の契機4)インターネット経由での問い合わせによる受任

弁護士にとって個人受任のきっかけとなる4つ目が,インターネット経由での問い合わせです。

内閣官房法曹養成制度改革推進室の2015年の調査によれば「弁護士を必要とするような問題を抱えたとき,どのような方法で弁護士を探すか」という問いに対して「インターネットの情報を基に探す」と回答した人は20%を超えています(内閣官房放送制度改革推進室「法曹人口調査報告書(図表集)」)。

弁護士は,ホームページやポータルサイトへの掲載を通じてインターネット経由での集客の可能性を上げることにより,個人受任の案件数を増やせる可能性があります。

弁護士の個人受任が許されない場合

上記では,弁護士が個人受任の案件数を増やすための集客方法について考察してきました。

この記事が,個人受任の案件数を増やすことを願う弁護士の参考になることを願っています。

もっとも,弁護士が個人受任を行おうとする際には,いくつか気をつけておくべきことがあります。

個人受任を行う前に,最低限以下の2点にはご注意下さい。

1つ目は「そもそも所属事務所や所属企業において個人受任が許されているのか」ということです。

法律事務所の中には,個人受任を禁止している事務所も少なくありません。

また,企業ではインハウスの弁護士による個人受任を禁止しているところの方が多数派です(日本組織内弁護士協会のWebサイトもご参照下さい。)。

なお,インハウスの弁護士が個人受任を行う際の注意点については,第一東京弁護士会総合法律研究所組織内法務研究部会が公表している「企業内弁護士雇用の手引き」も参考になります。

個人受任に関する集客方法を考えるよりも前に「そもそも所属事務所や所属企業において個人受任が許されているのか」をご検討ください。

2つ目は「弁護士法人における社員等は個人受任の際に依頼者及び相手方に対して個人受任事件であることを明確に表示しなければならない」ということです。

これは当然のことと言えば当然のことですが「弁護士法人規程に関する表示等の確認事項」に記載されているため,忘れないようにご注意ください。

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