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75期二回試験の概要

司法修習生

司法修習生の中には,修習期間中を通じ,ふとした瞬間に二回試験のことを考えてしまう人も多いのではないでしょうか。

この記事では,75期の司法修習生として二回試験を受けて合格した方にまとめていただいた75期の二回試験の概要を記載します。

なお,まとめてくださった司法修習生の方がA班であった関係で,集合修習中の即日起案や講義と二回試験の関係については,A班についてのものとなっています。

二回試験の日程

75期の二回試験の日程は次のとおりでした。

  • 1日目:刑事裁判
  • 2日目:検察
  • 3日目:民事弁護
  • 4日目:民事裁判
  • 5日目:刑事弁護

なお,集合修習の即日起案の日程は,二回試験の順番とは異なるものでした。

刑事裁判

大問

争点に対する判断の結論及び理由(16枚程度)

小問

なし

刑事裁判の大問は典型問題である「争点に対する判断の結論及び理由」でした。

また,A班の集合修習中の即日起案では2回とも小問がありましたが,二回試験では小問はありませんでした。

検察

事案

住居侵入+(事後)強盗致傷(単独犯)

事案に係る設問の内容

・犯人性
・犯罪の成否(その他の犯罪の成否・罪数含む)
※ 情状及び求刑の論述は不要

小問

被害者が証人尋問出廷等を拒絶したときの対応についての検討

(A班では)集合修習中の起案において,共犯の問題が出題されていました。加えて,共犯についての詳しい講義がありました。しかし,実際の二回試験では単独犯の出題となりました。

民事弁護

大問

原告の最終準備書面

民事弁護の大問は「原告の最終準備書面」でした。

被告側に補助参加人がついているという事案であり,(A班の)集合修習の中では(一度最終準備書面の起案はあったものの)補助参加人がいた事案はなかったため,補助参加人の分の準備書面も記録にあったという点は新しいものでした。

小問
  • ・ 保全・証拠収集(穴埋め,15問)
  • ・ 和解条項(穴埋め,10問)
  • ・ 弁護士倫理
    → 受任後の利害対立についての出題

民事弁護の小問はいずれも導入修習又は集合修習中に扱ったものでしたが,細かい点を聞いてくるものもあり,いずれも該当部分を十分に復習しておかないと,満点をとるのは難しい内容となっていました。

民事裁判

設問1
  • ⑴ 本訴請求の訴訟物,個数,併合態様
  • ⑵ 反訴請求の訴訟物,個数,併合態様
設問2
  • 本訴請求の主張整理
設問3
  • 反訴請求の主張整理(一部主張を除く)
設問4
  • 反訴請求のうち明渡請求との関係で,反訴被告による一部主張につきその攻撃防御方法上の位置付けを2枚以内で論じる
設問5
  • 留置権の主張の撤回理由,3枚以内
設問6
  • ⑴ 本訴請求の争点について事実認定の結論
  • ⑵ 上記争点の判断枠組み(3型)
  • ⑶ 上記争点の結論に至った理由
設問7
  • 手続問(両代理人が遠隔地にいる場合に採るべき争点整理手続,1枚以内)

刑事弁護

大問

想定弁論

刑事弁護の大問は「想定弁論」でした。

検察官が証明予定事実記載書で複数主張している間接事実のうち,一つの間接事実Aについて,弁護人の立場から「一部は争わない(事実aの限りで争わない)が,一部は争う。」というものがありました。

このパターンは,B班の集合起案ではあった(当然解説もあった)ようですが,A班の集合起案では取り扱いがなく,解説もありませんでした。

そのため,①あくまで間接事実Aの一部が認められない以上,間接事実Aは認められないとして推認力については触れずに処理するか,②間接事実Aは認められないが事実aの限りでは認められるため,事実aは争わず,事実aの推認力を争う,というところまで論述するか,非常に頭を悩ませたA班の修習生は多かったのではないでしょうか。

この点については,B班の方の話によれば,教官からは②で処理する旨の解説を受けていたようですが,私の周りでは,結果的に①の処理でも②の処理でも不合格にはなっていなかったので,合否に影響を与えるものではなかったようです。

小問1

被告人に有利に働く犯情及び一般情状をそれぞれ一つずつ挙げてその理由を書く,また,それら以外に,新たに作成すべき事実及びその証拠を一つ作り出してその理由を書く

これはA班の集合修習中の即日起案においても出題されたものでした。

小問2

異議(検察の主尋問の中で異議を出すべき尋問を指摘して根拠条文を挙げる)

こちらもA班の集合修習中の即日起案においても出題されたものでした。

小問2

被害者との示談書の作成に当たって示談書の取り交わし前に,依頼者である被疑者に確認しておくべき事項を指摘せよ(問題文中に,被害者及び被疑者の弁護人がそれぞれ作成した具体的な示談書案が示されており,その内容について,示談成立前に弁護人として被疑者に確認しておくべき事項を検討する問題)

まとめ

いかがでしょうか。

この記事では,75期の司法修習生として二回試験を受けて合格した方にまとめていただいた75期の二回試験の概要を記載しました。

上記のような二回試験の概要からすれば,75期の二回試験は,「導入修習と集合修習で学習したことを十分に復習しておく」という当たり前の方針を取っておくことで必要十分だったように思われます。

もっとも,A班の集合修習中の即日起案では出題されなかったパターンが出題されたということもあったようですので,本番の二回試験で焦らないためにも,集合修習に際しては,別の班からの情報収集もしておくことが望ましいように思います。

この記事が,76期以降の司法修習生の方の参考になることを願っています。

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