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失敗の原因|弁護士の独立が失敗する理由は何か?

弁護士の独立

独立を考えた弁護士の方が一番気になるのが,独立が失敗するリスクではないでしょうか。

弁護士の数が増加傾向にあると報じられているなか,弁護士の方が独立に失敗する可能性も否定できない状況になっています。

そこで本記事では,弁護士の方が独立に失敗する原因について,日本弁護士連合会が公開している資料などを基に検討していきます。

弁護士の独立失敗の要因1)経験年数が短すぎることによる失敗?

「独立が早すぎて独立に失敗する。」というのは,弁護士の方が独立に失敗する原因として,もっともらしいものであると考えます。

しかし,いわゆる即独の弁護士の方も,少なくない数の方が独立に成功しています(日本弁護士連合会「即時・早期独立経験談集」)。

したがって,必ずしも時期が早すぎて独立に失敗するというわけではないと思います。

5年以上の経験年数のある弁護士では50%以上が事務所を経営する弁護士となっています(日本弁護士連合会「近年の弁護士の実勢について」)。したがって,少なくとも弁護士としての5年間の経験があれば,経験年数としては十分といえるかもしれません。

弁護士の独立失敗の要因2)資金が少なすぎることによる失敗

結局「事業を継続できるだけの売上を得られるかどうか」が,弁護士の方にとっても,独立開業に成功できるか否かの最大のファクターになります。

そして,独立後に十分な売上を得るまでには,一定の時間が必要になります。

資金が足りず,この期間を耐え忍ぶことができないことが,弁護士の方が独立に失敗してしまう原因の1つ目として挙げられます。

独立を成功させるためには,当然のことにはなりますが,一定の資金が必要です。

日本弁護士連合会が出している「即時・早期独立開業マニュアル」には,次の記載があります。

「0円起業」となる即時・早期独立弁護士の場合には,自宅開業なら50万円,執務場所を自宅以外に求めるのであれば,100~300万円あれば開業は十分可能である。

即時・早期独立開業マニュアル

この記載と,そして毎月にかかってくるランニングコストの金額を,開業を考えている地域の特殊性を考えながら検討し,開業に必要な資金を検討することが重要です。

独立しようとする弁護士に融資を行ってくれる機関もあることから,このような機関からの借入れを検討することも必要でしょう。

たとえば,日本政策金融公庫の新創業融資制度などが挙げられます(日本政策金融公庫「新創業融資制度」)。

慎重に事業計画を立てた上で,十分と考えられる資金を自己資金又は融資で得た上で独立する必要があります。

事業計画の内容に不安がある方は,先に独立開業された先輩弁護士にも相談してみるのが良いかもしれません。

なお,十分な資金を集められたとしても,毎月かかってくるランニングコストが高額になってしまうと,経営が軌道に乗る前に資金がショートしてしまう可能性があります。

そのため,毎月のランニングコストは,少なくとも経営が軌道に乗るまでは,可能な限り下げる方が望ましいといえます。

たとえば,レンタルオフィスを利用したり,電話代行サービスを利用したりすることで,ランニングコストを下げられる可能性があります。

弁護士の方のレンタルオフィスの利用可能性については,弁護士がレンタルオフィスに事務所を構えるという選択肢についてにも記載していますので,こちらもご参照ください。

また,電話代行サービスについても,弁護士の方にオススメの電話代行サービスをまとめていますので,弁護士にオススメの電話代行サービス5選をご覧いただければ幸いです。

弁護士の独立失敗の要因3)問い合わせを集められないことによる失敗

先程記載した通り「事業を継続できるだけの売上を得られるかどうか」こそが,独立が成功するか失敗するかを決める最大のファクターといえます。

そして弁護士の方が「売上を得る」ためには「依頼の端緒となる問い合わせ」を集めることが必要不可欠になります。

依頼の端緒となる問い合わせを集められる仕組みを構築できないことこそ,独立が失敗する2つ目の要因です。

対策1)ターゲットを絞る

では,どうすればの依頼の端緒となる問い合わせを集めることができるでしょうか。

この点に関連して,独立を志す弁護士の方に向けたセミナーや,書籍,コンサルタントによるアドバイスでは,「集客」の具体的な方法論が語られることが多いです。

もちろん,具体的にどうやって集客すれば人が集まるのかを知ることは重要です。

しかし「依頼の端緒となる問い合わせ」を集められないという「失敗」を防ぐためには,具体的な方法論を学ぶよりも先に「ターゲットを決める」必要があります。

どこに住んでいる(立地),どのような人・企業(年齢層や性別,職業等)に対して,どんなサービスを提供するのか。

この問いに十分に答えられるようになる必要があります。

この問いに答えられないまま,具体的な方法論だけ学んでしまうと,独立が失敗する可能性も高いです。

なお,ターゲットを定める重要性等については,日本弁護士連合会の第17回弁護士業務改革シンポジウム<第1分科会>の資料「小規模法律事務所におけるマーケティング戦略」でも記載されています。

ターゲットを定めることで,どのような分野に注力していくべきかも変わってきます。

対策2)具体的な集客の方法

弁護士の方がターゲットを決めたら,その後に初めて,具体的な集客の方法を検討する必要があります。

集客の方法は大きく分けると次の2つです。

  1. 口コミ(紹介)
  2. 広告(ホームページを含みます。)

それぞれにメリットとデメリットがあります。

次のメリット・デメリットをあらかじめ認識し,双方にどういった配分でリソースを割いていくかを慎重に検討することが,失敗を避けるポイントの1つです。

口コミのメリットとデメリット

口コミは伝統的な手法で「足で稼ぐ」ものです。

信頼できる人から紹介された弁護士に対して依頼するハードルは相当低くなります。

その点で,口コミによる集客は,とても優れています。

また,お金もあまりかからないというメリットがあります。

他方で,口コミによる集客には時間がかかるというデメリットがあります。

広告のメリットとデメリット

これに対し,比較的短期間で依頼の端緒となる問い合わせ」を得ることができるのが,ホームページを含めた広告です。

しかし,弁護士の方が利用できる広告には多額の費用がかかる可能性があります。

ホームページであれば,初期費用で数十万円〜数百万円がかかる可能性がありますし,それ以外の方法による広告についても,かなりの費用がかかる割に効果がイマイチとなってしまう可能性が十分にあります。

広告をする際には,費用対効果をしっかりと見極めた上でおこなう必要があります。

また,弁護士が広告を行う際には弁護士等の業務広告に関する規程にも気を遣う必要があります。

こちらについては「弁護士の広告規制とホームページ制作時の留意点について」もご参照ください。

(失敗を避ける)独立の参考になる資料や書籍は?

弁護士が独立する際に参考になる書籍は,残念ながら多くはありません。

もっとも,日本弁護士連合会や東京弁護士会が,次のような資料を公表しています。いくつかは上記にも引用しておりますが,こちらは非常に参考になります。

また,地方での独立を考えられている方には,株式会社LegalOn Technologiesが公開しているレポート「地方で働く弁護士のための顧問契約獲得のコツ」も参考になります。一度ダウンロードして確認してみるのがオススメです。

加えて,少なくはありますが,出版されている本については,こちらの記事にまとめておりますので,こちらもご参照ください。

最後に

本記事では,独立を考える弁護士の方に向けて独立が失敗する原因となりうる要素を見てきました。

端的に言えば失敗の原因は次の2つにまとめられます。

  1. 売上が上がる集客の仕組みが作れなかった
  2. 売上が上がる集客の仕組みは作れたが,実際に売上が生じるまで耐えられなかった

このうち2の要因による失敗のリスクは準備さえすれば,相当程度軽減できます。

1の要因による失敗のリスクについては,実際に開業して実験してみないと分からない部分が多いものの,上で検討した対策を講じることで,少なからず軽減できます。

本記事が独立を志す弁護士の皆さんの参考になることを願っています。

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