企業内弁護士(インハウスローヤー)は,民間企業の法務部門等で,企業が当事者となる契約や関係法令の調査等を行う弁護士です。
最近は,企業内に弁護士を常駐させたいというニーズが高まっていることもあり,企業内弁護士に転職される弁護士の方も少なくありません。
中には,いわゆる”街弁”的な法律事務所から企業内弁護士への転職に成功されている方もいらっしゃいます。
この記事では,キャリアアップを目指す方のために,企業内弁護士への転職に強い転職エージェントをご紹介します。
転職エージェント | 特徴 |
LEGAL JOB BOARD(リーガルジョブボード) | 弁護士・司法書士・弁理士・調査士など,士業専門職のための求人サイト。各士業専門のエージェントを配置し,サポートも充実。 |
弁護士ドットコムキャリア | 国内最大級のポータルサイト「弁護士ドットコム」が運営。関東圏の求人数が多いのが特徴。 |
NO-LIMIT(ノーリミット) | 弁護士の転職に特化したエージェント。法律事務所とインハウスの両方に対応。弁護士業界に精通したアドバイザーのサポートにより,効率良く転職活動を進められる。 |
企業法務革新基盤 | 大手企業への転職に強み。キャリアコンサルティングサービスも含めて,テーラーメイドなキャリア設計を支援してくれる。 |
MS Agent | 士業・管理部門に特化した転職エージェント。大手企業の求人も多く,勤務弁護士からインハウスへの転職に強み。 |
C&Rリーガルエージェンシー | 転職サイトである弁護士転職.jp から派生している転職エージェントサービス。弁護士が法務業務に専念できる環境の構築を目指す。 |
企業内弁護士(インハウスローヤー)への転職に強い転職エージェント6社の特徴を解説
ここからは,企業内弁護士(インハウスローヤー)への転職に強みを持つ転職エージェントの特徴や,実際に利用した弁護士の口コミを順にご紹介します。
- ・企業内弁護士に転職して働き方や環境を変えたい方
- ・新たな分野に挑戦したい方
- ・弁護士としてのスキルをアップさせたい方
- ・執務環境やワークライフバランスの改善を希望する方
- ・今より年収をアップさせたい方
そんな方は,積極的に転職エージェントを利用し,より良い弁護士ライフを手に入れましょう!
1. LEGAL JOB BOARD(リーガルジョブボード)
LEGAL JOB BOARDでは,弁護士業界の専門エージェントが必ず担当について転職をサポートしてくれます。また,LINEやメールで即日求人紹介もしてくれるなど,スピード感がある点も特徴です。面接日程の調整はエージェントが行うため,忙しい中でもスムーズに転職活動を進めたい方にも好評です。
また,LEGAL JOB BOARDは,企業内弁護士(インハウスローヤー)への転職にも力を入れています。会員登録をしない状態でも,企業内弁護士(インハウスローヤー)の求人情報を数百件閲覧することができるので,気になる方は見てみましょう。
無料で会員登録をすれば,東証プライム上場企業などを含む求人情報をさらに詳しく見ることができます。
LEGAL JOB BOARDのおすすめポイント
- 各士業専門のエージェントが無料でサポートしてくれる
- 登録後,2営業日以内に登録者に合った求人を提案してくれる
- 履歴書や職務経歴書の添削,面接対策,キャリアの相談,面接後のフォロー等,サポートが手厚い
LEGAL JOB BOARDの口コミ・評判
「過去の志望者の話を聞くことができとても参考になりました。また電話での対応もしてくださったので,不安を解消できました。」
リーガルジョブボード口コミ・評判(弁護士・司法修習生)
「会社の方からお声がけを頂ける貴社のサービスのお陰で,応募条件の経験年数部分を満たさず自分から応募することを躊躇っていた憧れの会社からお声がけいただき,無事転職することができました。」
リーガルジョブボード口コミ・評判(弁護士・司法修習生)
「色々相談に乗っていただいて,精神的にも後押ししていだだけたおかげで就職が決まりました。今回の転職だけでなく,将来のキャリアアップについてもアドバイスいただけたので信頼できました。」
リーガルジョブボード口コミ・評判(弁護士・司法修習生)
2. 弁護士ドットコムキャリア
弁護士ドットコムキャリアは,日本最大級の弁護士・法律ポータルサイト「弁護士ドットコム」が運営する転職エージェントです。
弁護士ドットコムキャリアでは,大手法律事務所をはじめ,各エリアに拠点を構えている法律事務所,インハウスロイヤー(企業内法務)求人まで幅広く取り扱っており,非公開案件も含めて求人数が多いのが特徴です。
特に,関東圏の企業の求人が充実しているので,関東圏で企業内弁護士への転職を考えている方は登録しておきたいエージェントです。
形式的な希望条件にとどまらず,例えば「この転職希望者は,この企業の法務部長と気が合いそうだな」といった要素でのマッチングなど,各企業とのネットワークを活かした求人紹介も魅力です。
弁護士ドットコムキャリアのおすすめポイント
- 15年を超える運営で培った,弁護士業界のネットワークが強み
- 小規模法律事務所からインハウスロイヤーまで,幅広い転職先を用意
- 弁護士業界に詳しい専任コンサルタントが転職活動をサポートしてくれる
弁護士ドットコムキャリアの口コミ・評判
「自分でも気付いていなかった潜在的な思考や要望を的確に見抜いてくださった」
【弁護士の転職成功談】法律事務所からインハウスへ。パーソナルな求人選びで希望業種へスムーズに転職。
3. NO-LIMIT(ノーリミット)
NO-LIMIT(ノーリミット)は,弁護士業界に精通したアドバイザーのみが在籍する,弁護士の転職に特化したエージェントです。ひまわり求人や一般転職サイトにある求人の他,ネット検索では出てこない非公開求人情報も持っています。
転職先の内情等,外部からは分かりづらい情報も把握してくれている点も大きな強みです。
NO-LIMIT(ノーリミット)のおすすめポイント
- 法律事務所,企業内弁護士の内情や情勢に詳しい
- アドバイザリーと共に自己分析から始められる
- 書類添削サポートあり。書類添削後の通過率90%(2021年7月時点)
- 法律事務所はもちろん,インハウスへの転職も充実
- 弁護士からのアドバイザー満足度92.3%(2021年11月時点)
NO-LIMIT(ノーリミット)の口コミ・評判
「とにかくレスポンスが早かったのが非常に使いやすかったです。求人提案も,応募後の進捗の報告も非常にスピーディーだったため,テンポよく転職活動出来たのが有難かったです。」
「各求人のおすすめポイントを伝えてくれたのは御社が初めてなので印象的でした。」
「連絡手段にLINEを使っているのも良かった」
【弁護士転職事例】インハウス法務部門の幹部から個人事件可能な大企業への転職|社内法務と裁判業務の両立を実現した事例
「不満に思うことは特になかったですね。エージェント4,5社くらい使ってたのですが,御社のレスポンスが圧倒的に早かったので,とても頼りになりました。連絡手段にLINEを使わせてもらえたのも,連絡に対するハードルが低くなってよかったです。」
向上心を持つ若手弁護士の転職!人に恵まれ,街弁から中堅企業法務系事務所へ転職した成功事例
4. 企業法務革新基盤
企業法務革新基盤は,企業内弁護士への転職に特化している転職エージェントです。特に,東証プライム上場企業等,大手企業への転職に強みがあります。
キャリアコンサルティングに要する時間は,ときに2時間を超えることもあるなど,一人ひとりへの手厚いサポートを重視しているのが特徴です。
企業法務革新基盤のおすすめポイント
- 総合商社やメガバンク等,国内トップクラスの実力を持つ企業内法務部と独占契約している
- テーラーメイドなキャリア設計を支援してくれる
5. MS Agent(エムエスエージェント)
MS Agentは,1990年に創業した株式会社MS-Japan(エムエス ジャパン)が運営する,専門職に特化した転職エージェントです。東証プライム市場への上場もしている老舗企業のサービスの一つです。
MS Agentでは,弁護士のキャリアフィールドを,「国内大手法律事務所」「外資系法律事務所」「国内準大手/中堅法律事務所」「一般民事系法律事務所」「企業内弁護士(事業会社)」「企業内弁護士(金融専門職)」の7つに分類し,転職をサポートしてくれます。
会員登録をしなくても,企業内弁護士の求人情報を一部見ることも可能。まずは転職先のイメージを具体的に捉えたいという方は,求人情報を眺めてみると良いでしょう。
MS Agentのおすすめポイント
- 創業30年以上。弁護士以外の専門職の転職にも精通する豊富な実績
- 専門性の高い法律事務所から一般事業会社まで,細かなニーズに合わせて転職をサポートしてくれる
MS Agentの口コミ・評判
「経歴書の添削から面接スケジュールの調整まで多岐に渡ってサポートしていただいたお蔭で, 仕事をしながらでも転職活動がスムーズに行えました。」
MS Agent
「今回 初めての転職活動でしたが,的確で丁寧なサポートをして頂き, スムーズに活動をする事ができました。」
MS Agent
6. C&Rリーガルエージェンシー
2007年に設立された株式会社C&Rリーガルエージェンシー社が運営する転職エージェント。具体的な勤務先の紹介はもちろん,給与・待遇面の交渉等にも無料で対応してくれます。
「子育てに対し理解ある企業のインハウス」「英語を活かせる×ライフワークバランス」など,個人の希望に合った転職先を厳選し,スピード感をもって転職活動をサポートしてくれます。
C&Rリーガルエージェンシーのおすすめポイント
- インハウスからの転職や,インハウスへの転職に強み
- 数年後に転職・独立を検討しているけれども,今から市場の状況を知っておきたいというリクエストでもOK
C&Rリーガルエージェンシーの口コミ・評判
「エージェントは専門特化しているエージェントらしく,業界の事は勿論,応募先企業に関しても細かい情報を全て把握されており,安心して企業の面接に臨む事が出来ました。」
C&Rリーガルエージェンシー
「転職先の良い点,懸念点を調べ,正直にお話してくれたおかげで,大変納得のいく転職ができた」
C&Rリーガルエージェンシー
企業内弁護士(インハウス)への転職に転職エージェントを使う5つのメリット
【メリット1】担当アドバイザーが弁護士業界を理解している
この記事でご紹介している転職エージェントは,弁護士の転職に特化しています。当然ながら,一般的な転職エージェントと比較して,弁護士業界に関する理解・解像度が高いので,話をスムーズに進めることができるでしょう。
例えば,「一般民事・家事事件をメインに扱っている法律事務所で勤務していたが,それでも応募できそうな企業はどれくらいあるか?」といった疑問にも的確に答えてもらうことができます。「一般民事って何?家事って何?」なんていう無駄なやり取りをする必要はありません。
【メリット2】客観的な視点からキャリアプランを描いてもらえる
自分自身がやりたいことや進むべき道は,誰もが明確に描けているわけではありません。第三者目線でキャリアの相談にのってもらうことで,自分自身では思い至らなかった道が拓けてくることもあるでしょう。
司法試験を受験する頃,答案を第三者に採点してもらうことがとても重要なことであったのと同じように,自身のキャリアプランについても第三者に見てもらうことが大きな転機になることもあります。
【メリット3】キャリアアップにつながる求人案件を提案してもらえる
求人情報は常に入れ替わります。自力で良い求人を探すのには限界がありますし,時間や労力も多く費やすことになってしまいます。
転職エージェント側は,非公開の求人も含めた最新の情報を手元に持っていますから,これを使わない手はありません。
自身の要望を遠慮せずしっかりと伝えて,キャリアアップ,年収アップにつながる求人を提案してもらいましょう。
【メリット4】非公開求人など公にされていない求人に出会える
企業内弁護士(インハウス)への転職に関する求人は,インターネット上に公開されているものが全てではありません。企業側の要望で「非公開」となっている求人もあるため,より良い選択をするためには転職エージェントに無料登録することが必須といえるでしょう。
【メリット5】転職活動がスムーズに進む
現在弁護士業務を行なっている先生は,転職活動に多くの時間を割けるわけではありません。現在抱えている仕事に支障が出ない範囲で,転職活動をスムーズに進めていくことは,意外と大変なことです。
自力で転職活動を進めようと思っている方の中には,「ついつい後回しにして何ヶ月も経っている・・・。」なんていう方も多いのではないでしょうか。
そんな方こそ,転職エージェントを使うべきです。当然ですが,自分が仕事をしている間にも担当者は動いてくれていますので,その分効率良くスムーズに転職活動を進めることができます。
企業内弁護士(インハウス)への転職に強い転職エージェントを利用する際のポイント
【ポイント1】複数の転職エージェントに登録する
各転職エージェントごとに(さらに言えば各担当者ごとに),転職希望者との距離感やスピード感は異なります。また,抱えている求人案件の内容も全く同じではありません。A社にはあって,B社にはない求人案件も存在します。
そのため,はじめのうちは,複数の転職エージェントに登録するのがおすすめです。2〜4社程度のエージェントに登録しておけば,各社(各担当者)の特徴や違いも実感できますので,より効率的に転職活動を進めることができるでしょう。
もちろん,複数の転職エージェントに登録することは禁止されていませんし,費用もかかりません。
【ポイント2】アドバイザーの質が悪ければすぐに変更する
アドバイザー(担当者)の質が悪いと思ったら,他のアドバイザーに変えてもらったり,他社の転職エージェントに登録するのも一つの手段です。あらかじめ複数の転職エージェントに登録しておけば,他社への切り替えもスムーズに行えます。
企業内弁護士(インハウス)への転職を成功させるポイント3つ
【ポイント1】企業法務の経験はあった方が良い
企業内弁護士(インハウス)を求めている企業側からすれば,入社してくれる弁護士が即戦力であるにことに越したことはありません。他社で企業内弁護士の経験があったり,企業法務中心の法律事務所で数年間の実務経験があるのであれば,その点を積極的にアピールした方が良いでしょう。
中には,求人情報に次のような条件を記載している企業もあります。
また,上場準備経験のある弁護士や,株主総会および取締役会等の準備・運営経験のある弁護士は重宝されることが多い印象です。
一方で,民事・家事・刑事をメインに扱っている法律事務所に勤務している弁護士であっても,企業内弁護士(インハウス)に転職できることもあります。応募対象が限られる点は受け入れなければなりませんが,「全く転職できない」というわけではありませんので,その点も含めてアドバイザーに相談してみましょう。
【ポイント2】英語が話せると選択対象が広がる
東証プライム上場企業など,大手企業への転職を希望される方は,特に英語力が歓迎されることが多いでしょう。
中には,求人情報に次のような条件を記載している企業もあります。
もちろん,英語を使わない企業もありますので,英語が話せないことを理由に企業内弁護士(インハウス)への転職を諦める必要はありません。ただ,「一定の英語力があれば,自ずと選択対象は広がる」という点は覚えておくと良いでしょう。
【ポイント3】最低限のコミュニケーション能力は必要
企業に属するとなれば,他部署の方・企業外の弁護士・企業の取引先など,様々な関係者とやり取りをする機会もあるでしょう。
そのような方とやり取りできるための最低限のコミュニケーション能力は必要となります。
ただし,弁護士業務を続けてこられた先生であれば,依頼者や顧問先の担当者など,様々な方とやり取りをしていると思いますので,そこまでシビアに考える必要はないでしょう。
2024年現在も企業内弁護士数は増加中
近年の弁護士の転職市場の大きな特徴としては,企業内弁護士(インハウスローヤー)の需要が急速に高まっている点が挙げられます。
実際,2010年には428人だった企業内弁護士は,2023年6月時点では約7.4倍の3,184人まで増加しています(出典:企業内弁護士数の推移(2001年~2023年))。
法律事務所で企業法務を経験した弁護士はもちろん,一般民事事件を中心に扱ういわゆる街弁の弁護士で,企業法務の経験が乏しい弁護士であっても,積極的に転職活動を行うことで企業への転職に成功する事例も見られます。
本記事の内容が,企業内弁護士への転職の参考になれば幸いです。