弁護士に対しては,メールではなく,電話での新規の問い合わせが少なくありません。
しかし,特に一人事務所や二人事務所などでは,内部のリソースだけで電話による新規問合せに全て対応するのは難しいのが実情です。
そのため,一人事務所や二人事務所を経営されている弁護士の方の中には,電話対応を外注することを考えられた方も少なくないと思います。
そこで,この記事では,弁護士の方が電話代行サービスを利用することのメリットや,電話代行サービスの利用可能性を軽く検討した上で,電話対応を外注することを検討されている弁護士の方に利用をオススメできる電話代行サービスを6つ紹介します!
電話代行サービス利用のメリット
まず,弁護士の方が電話代行サービスを利用すると,次のようなメリットを享受できると考えられます。
- 営業電話への対応で業務が中断されるのを防ぐことができる。
- (特に独立直後の事務所において)電話に出られない事態を防ぐことができる。
弁護士に対する営業電話は少なくありません。広告関連企業や営業支援企業から,多くの電話がかかってくることになります。
このような営業電話に逐一対応していると,なかなか起案などの重要な業務に集中して取り組むことが難しくなってきてしまいます。
また,特に独立直後の弁護士の先生は,フルタイム勤務の事務員を新規で採用することが難しく,自身が裁判所に赴いているタイミングなどで電話がかかってきてしまうと,電話対応できないという事態に陥ってしまいかねません。
このことは,新規受注の機会の喪失にも繋がりますし,既存の依頼者(クライアント)からの信頼を害することにも繋がりかねません。
電話代行サービスを利用することで,起案などの重要業務に集中して取り組むことができるとともに,受任件数を増やせる可能性が高まると考えられます。
電話代行サービスの利用可能性
弁護士の方が電話代行サービスを利用することは上記のようなメリットがあると考えられますが,そもそも個人情報の取り扱いが多い弁護士が電話代行サービスを利用することは弁護士倫理との関係で許容されているのでしょうか。
この問題については,東京弁護士会が公表している「独立開業マニュアル東弁版」にも次の記載があり,弁護士の方が電話代行サービスを利用することに問題はありません。
現在では,低価格での電話代行等のサービスも充実していることから,事務職員を採用しなくても,このようなサービスを利用することにより人件費を削減することも可能である。
独立開業マニュアル東弁版
電話代行サービスの選び方
では,弁護士の方が電話代行サービスを利用する場合,何に注意すべきでしょうか。
まず1つは,セキュリティ体制や個人情報保護の体制が整っているかどうかという点です。
「ISMS適合性評価制度における認証基準JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)をクリアしているか。」や「Pマークを取得しているか。」などを確認するのが良いでしょう。
次に,チャットツールやメールと連携しているか否かも確認することがオススメです。
可能であれば,チャットツールやメールと連携している電話代行サービスを選ぶ方が情報共有をスムーズに行うことができ,業務効率化が実現しやすいです。
最後に,その電話代行サービスを利用している弁護士や法律事務所が既に存在するか否かも確認する方が良いと考えられます。
なお,ISMS適合性評価制度については次の説明が参考になります。
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度は,国際的に整合性のとれた情報セキュリティマネジメントシステムに対する第三者適合性評価制度である。本制度は,わが国の情報セキュリティ全体の向上に貢献するとともに,諸外国からも信頼を得られる情報セキュリティレベルを達成することを目的とする。
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度の概要
この制度における認証基準JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)をクリアしている事業者が運営している電話代行サービスであれば,信頼性が高いと評価して良いと考えられます。
弁護士にオススメのサービス7選
それでは,ここからは弁護士の方におすすめできる電話代行サービスを6つ紹介したいと思います。
株式会社ビジネスアシストの弁護士・法律事務所専用プラン
1つ目は,株式会社ビジネスアシストの「電話秘書サービス(弁護士・法律事務所専用プラン)」です。
専任秘書スタッフが対応することとされており,電話代行に秘書サービスのクオリティをプラスしたサービスを売りにしています。
300を超える弁護士・法律事務所が利用しているとされており,次のような弁護士の口コミも掲載されています。
法律事務所の電話対応は,伝統的に,「正確さ」「機密保持」の2点が大切です。しかし,今では業界の競争も厳しくなってきたため,この2点に加えて「顧客サービス」「親身な対応」が必要不可欠になりました。
利用者の声「弁護士法人 横浜パートナー法律事務所」
この4つを電話対応で求めていくには,事務員さんを雇っても難しいと認識していました。それを外部に,コストを抑えて頼むのですから,応対のクオリティは大して期待をしていませんでした。
しかしこの予想は,良い意味で裏切られました。
株式会社うるるのfondesk
2つ目は,株式会社うるるが運営する「fondesk」です。
株式会社うるるは,上記のISMS適合性評価制度との関係で,認証基準JIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)をクリアしていることが認められています。
そのため,情報の取り扱いに関して信用できる電話代行サービスであると評価できます。
fondeskを利用している弁護士法人のインタビューも掲載されており,実際に弁護士業務に関しても利用されています。
fondeskを使って良かったことは,集中力が途切れないこと。取る必要のない電話に対する徒労感や,時間の喪失感がなくなり,本当にやるべき仕事に集中できるようになりました。
導入事例|弁護士法人コスモポリタン法律事務所
料金体系としては,月額10,000円の基本料金に1件あたり200円の従量課金が上乗せされる形ですが,特に独立したばかりの弁護士の方にとっても,比較的導入しやすい料金体系になっているのではないでしょうか。
こちらの「fondesk」は,現在,14日間無料でサービスを利用できる「無料トライアルキャンペーン」を行っていますので,将来的に電話代行サービスを利用する可能性のある方は,一度無料トライアルを実施してみてはいかがでしょうか。
fondeskは,Chatwork株式会社と提携し,「Chatwork電話代行」というサービスも提供しています。fondeskの利用を前提とし,その報告ツールがChatworkになるものです。
このサービスを使用している弁護士の方が所属する法律事務所があることからも,fondeskが法律事務所における使用に適したサービスであることが伺えます。
このChatwork電話代行の口コミには,次のようなものがあります。
対応の品質については,導入前に自分で電話をかけて確かめてみました。わざと滑舌を悪くして話したのですが,こちらの気分を害さないように気遣いながら聞き返してくれたり,「折り返します」のような約束を勝手にしたりすることもなく,全体として非常によい対応でした。弁護士は返答によっては回答義務が発生することもあり,電話対応の言葉にとても気をつかいます。そういった点もしっかり対応いただけるのは安心できますね。
導入事例「弁護士法人甲本総合法律事務所」
価格面も理由の1つです。実は法律事務所業界に特化した電話代行サービスもあるんですよ。しかし,そういった特化型の代行サービスはコストが非常にかかります。初期費用も高いし,単価も1件1,000~2,000円と高額です。
導入事例「弁護士法人甲本総合法律事務所」
fondeskでは,Chatwork以外にも,次のような報告ツールが用意されているようです。
- Slack
- Chatwork
- Microsoft Teams
- Google Chat
- LINE
- Eメール
- LINE WORKS
電話代行において,これらの報告ツールによる報告を受けたい弁護士の方は,fondeskを検討してみてはいかがでしょうか。
弁護士ドットコムの電話代行サービス
3つ目は,弁護士ドットコム株式会社が運営する電話代行サービスです。
利用料金が「日中プランなら2万円〜」と記載されており,上記のfondeskと比較すると少し料金は高いようですが,創業当初から弁護士向けに各種サービスを提供してきた弁護士ドットコム株式会社が運営するサービスであり,実際に多くの法律事務所が利用しています。
そして,利用する法律事務所からの評判も非常に良いです。
オペレーターには,かなり具体的にヒアリングしてもらっていると思います。法律用語も聞き取っていただいて,さすが弁護士ドットコムだなと感じることがありますよ。普通の人なら難しいんじゃないかなと。
導入事務所様の声|伊倉総合法律事務所
なにより,“どこの馬の骨かわからない業者”に自分の電話を任せるのは,正直なところ,とても怖いです。弁護士に相談しようと覚悟を決めてきた相談者様は,非常にセンシティブな状態なので,電話応対での言葉一つ,態度一つで,不安を深めたり,怒りや悲しみを強く感じてしまいます。
導入事務所様の声|フェリーチェ法律事務所
だからこそ,弁護士の業務や,お悩みを抱えている方の気持ちをよく知っている弁護士ドットコムには,安心してお任せできますね。
個人情報保護を徹底しており,Pマークも取得済みのようです。
株式会社バルテックの弁護士・法律事務所向け電話代行サービス
4つ目は,株式会社バルテックが運営する「弁護士・法律事務所向け電話代行サービス」です。
カレンダーツールで日程を共有しておくと,法律相談の日程調整などをコールセンターで済ませてしまうことも可能です。これは他の電話代行サービスにはない特徴かもしれません。
こちらのサービスを実際に利用している法律事務所も多く,次のように評価されています。
内線取次ぎができるので,オンタイムで対応が出来る事があるので非常に便利。
特定の内容のみ検察庁やココナラ,弁護士.comは取り次いで欲しいなど内線取次ぎが使い分けできるので便利。
約2週間,無料でトライアルの利用が可能とされています。
トライアルの詳細な条件については,公式サイトもご確認ください!
CUBEの電話代行サービス
5つ目は,株式会社大阪エル・シー・センターが運営するCUBE電話代行サービスです。
このCUBE電話代行サービスでも,個人情報保護が徹底されており,Pマークが取得されています。
月コール数が50回までの場合には,月額1万円(税別)から利用できますので,比較的導入しやすいサービスです。
また,CUBE電話代行サービスでは,「サービス保証制度」を導入しており,サービス開始1か月以内に「全くメリットがなかった」ような場合や「満足できなかった」場合に,初期登録料や保証金等の全額返金対応を行っています。
この点からも,導入するハードルはかなり低いと評価できます。
実際にこのCUBE電話代行サービスを利用している弁護士も少なくありません。
キューブさんを使い始めて10年になります。基本的に,キューブさんへ転送しっぱなしです。10時~17時は応答後転送で携帯電話へつないでもらい,出廷等で電話に出れない際は,伝言をメールで報告をもらっています。以前利用していた電話代行業者さんでは,〇〇さんから電話あれば,~~~~と伝えておいてください。等の対応をしてもらえませんでしたが,キューブさんでは,顧問先や銀行,広告媒体ごとに対応をしてもらえるので非常に助かっています。月々の費用以上の価値を感じています。
大阪市北区 法律事務所 様 導入10年目
ベルシステム24の電話代行サービス「e秘書®」
6つ目は,株式会社ベルシステム24ホールディングスが提供する「e秘書®」です。
この「e秘書®」でも,個人情報保護が徹底されており,Pマークが取得されています。
裁判所・相談者様等の対応経験が豊富なオペレータが担当することから,「電話代行サービスを利用することによって相談者等からの事務所の評判を下げてしまう。」といった事態に陥ることを回避できます。
この株式会社ベルシステム24ホールディングスが提供する「e秘書®」についても,既に弁護士による利用があるようです。
でも,「e秘書®」では事件番号や法律用語なども正確に伝えてくれるので,これまで10年以上利用していますが,間違いやトラブルが起きたことはないんです。ですから不満はなく,むしろ安心が積み重なっています。どうやってオペレーターの方を養成されているのか教えていただきたいくらいです(笑)。
事例紹介・お客様の声|曽我部東子法律事務所
ウィズ・プランナーズ株式会社のBusinessCall
7つ目は,ウィズ・プランナーズ株式会社の電話代行サービスである「BusinessCall」です。
この「BusinessCall」でも,個人情報保護が徹底されており,Pマークが取得されています。
また,この「BusinessCall」の一つの特徴として,年中無休365日対応という点が挙げられます。そして,対応時間も9時から21時となっています。
そのため,「電話に出られなかったために新規受任を逃した。」という経験を可能な限り減らしたい人にとっては,このウィズ・プランナーズ株式会社の電話代行サービスである「BusinessCall」がオススメできます。
このウィズ・プランナーズ株式会社の電話代行サービスである「BusinessCall」についても,既に弁護士による利用があります。
365日対応で10,000円(税込11,000円)は格安だと思います。他のサービスと比較するとかなり安価なので,品質についての心配がありましたが,全く問題ありませんでした。
導入事例|弁護士法人トライデント
最後に
いかがでしょうか。
この記事では,電話代行サービスの外注を考えられている弁護士の方に向けて,弁護士による電話代行サービスの利用可能性を軽く検討した上で,電話対応を外注することを検討されている弁護士の方に利用をオススメできる電話代行サービスを7つ紹介しました。
この記事が,電話代行サービスの外注を考えられている弁護士の参考になることを願っています。