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弁護士の請求書の書き方と業務効率化のポイント

弁護士(法律事務所)の請求書には記載すべき項目が複数あり,書き方に悩むこともあるでしょう。そこで今回は,弁護士の請求書の書き方について,記載する機会の多い項目やインボイス制度の影響などとともにご紹介します。

弁護士の請求書の書き方【実例】

弁護士の請求書は,一般的に以下の項目に分けて記載します。

記載事項備考
宛名(受け取り側の会社名または個人名)個人宛の場合は「様」,会社や部門宛の場合は「御中」を付ける。宛名と敬称は1文字開ける。
発行日請求書を送付する日の日付や,請求書を受け取る相手の締め日の日付を記載する。
請求番号事務所内で管理するために付ける番号。事務所で定めた番号の付け方で番号を付ける。
弁護士や法律事務所の情報送付する側の事務所名や弁護士名を記載する。職印を押す。
明細報酬や費用の項目,金額を記載する。
小計消費税を除く金額を記載。
税額かかった税金の金額を記載。
合計小計に税金を合算した金額を記載。
請求金額請求額の総額を記載。
振込先銀行名,支店名,口座種別,口座番号,口座名義を記載。
支払い期限請求書発行日から2週間後,月末,翌月末などに設定することが多い。振込手数料をどちらが負担するのかは契約書に明記しておく。
登録番号法人番号または課税事業者番号を記載。

弁護士の請求書に記載することが多い費目

弁護士の請求書に記載する費目はさまざまです。そのなかでも特に記載する機会の多い費目は以下の通りです。

  • 相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • 時間制手数料
  • 事務手数料
  • 預り金
  • 日当
  • 顧問料
  • その他実費

それぞれの費目の概要や注意点を解説します。

(1)相談料 

依頼者に対面して,法律に関する相談の対価として受け取る報酬です。初回相談や,その後の具体的なアドバイスを求める際に発生します。

必ずしも発生する報酬ではなく,具体的な金額も弁護士や事務所ごとに異なります。例えば,初回相談料は無料で,その後の具体的な法律相談やアドバイスには費用が発生する仕組みの事務所も少なくありません。

(2)着手金

委任契約を結んだ時点で支払われる報酬です。契約を結ぶ際,前払いで支払われます。あくまで依頼を引き受ける際に支払われる報酬のため,金額は案件の内容や結果に関与されません。

例えば,訴訟に勝っても負けても,原則として着手金が返金されることはありません。

(3)報酬金

依頼の結果に基づいて支払われる費用です。前述の着手金とは違い,結果によって支払われる金額が変わるのが一般的です。

一般的に,全面敗訴のような不成功の場合に支払われることはありません。しかし,一部成功の場合はその割合を換算して額を決めます。

報酬金は,別名「成功報酬」と呼ばれています。その名の通り,弁護士が引き受けた案件で成功した際にのみ支払われる報酬です。訴訟で勝訴した場合だけではなく,和解金を獲得した場合も報酬金が発生します。

報酬金の金額や計算方法は,弁護士と依頼者間で事前に相談しておきます。双方が合意した契約内容で,請求額を算出します。

(4)時間制手数料

いわゆるタイムチャージです。1時間あたり●万円とした上で,実際に稼働した時間を掛け合わせて算出します。例えば,電話対応,メール対応,調査,起案,相手方との交渉,訴訟等に要した時間が稼働時間となります。

(5)事務手数料

弁護士が案件を処理する過程で,事務的な手続きをする際に発生する経費です。例えば,遺言書の作成,会社の設立,契約書の作成などを事務手数料として扱う事務所もあります。

(6)預り金

依頼者の案件において今後生じると考えられる費用をカバーするために,弁護士が事前に預かる金額のことです。案件の処理内容によっては,預り金を全て使うわけではありません。契約終了後に残額がある際は,返金します。一方,預り金では足りなかった際は不足分を依頼者に支払ってもらわなければなりません。

預り金は,具体的には案件処理の過程で必要となる手数料や,外部の専門家に支払う費用などに使用されます。予測される経費を前もって確保し,必要となった際に預り金から経費を支払う仕組みです。

(7)日当

依頼内容の作業をする際,弁護士が事務所から移動して一定時間の拘束を受けた場合に支払われる報酬です。裁判所への出廷や,関係先・調査先への出張が該当します。宿泊費や交通費などの実費と日当は異なるため,混同しないように注意しましょう。

日当は,あくまで弁護士が1日に投じる時間と労力を保証する費用です。事前に金額を設定したり,実際に費やした時間に基づいて計算したりします。計算方法は,弁護士や事務所によって異なるため,事前に確認して明確化しておくことが大切です。

(8)顧問料

顧問契約に基づき,一定の法律事務を継続的に行う際に支払われる報酬です。顧問料が支払われると,特定の期間で弁護士が顧問として法律サービスを締結します。

顧問料の支払いは,月額や年額の定額で設定するのが一般的です。顧問契約の範囲外で発生した訴訟手続きや法律相談は,別途費用が発生します。

(9)その他実費 

その他の実費は,実費明細として請求します。

実費明細とは,案件処理に関して実際にかかった費用を明確化したものです。交通費や通信費,宿泊料,裁判の書類に必要な印紙代,関係書類のコピー代(記録謄写費用)保証金,保管金,供託金などが該当します。

多くの場合,実費は依頼案件のために弁護士が仮払いしています。仮払いした出費を清算するものが実費明細です。

案件の内容や弁護士によってかかる費用が変わります。実費の金額も,依頼者と弁護士間の確認は必須です。

弁護士の請求書の作成方法

弁護士の請求書は,従来は手書きで作成することもありました。しかし,近年はExcelや業務関連ツールを使ったりして作成するケースが多いでしょう。ここからは,弁護士の請求書の作成方法について,それぞれの概要や特徴とともにご紹介します。

手書きの請求書用紙で作成する

書式があらかじめ設定された用紙に必要な情報を手書きして,請求書を作成する方法です。物理的な文書として手渡しができたり,電子機器が使えない状況でも作成できたりなどのメリットがあります。

一方,請求書をコピーして保管する必要があったり,作成や修正に手間と時間がかかったりなどのデメリットもあります。

手書きの請求書の送付方法は,郵送や直接手渡しが一般的です。特に,前述の通り物理的な請求書であることから,手渡しができる点が特徴です。

請求書用紙は,文具店やオフィス用品店などで手軽に購入できます。ソフトウェアがなくても,誰でも簡単に作成可能です。

Excelや業務管理ツールを使う場合も,万が一インターネット環境が使えない場合に備えて,請求用紙を保管したり手書きでの作成に慣れたりしておきましょう。

Excel(エクセル)で作成する

Excelが利用できる際は,Excelを使って作成する方法もあります。

現在,インターネット上には数多くのテンプレートがあり,無料で利用できます。テンプレートを利用すれば,項目を入力するのみで手軽に請求書作成が可能です。

もちろん,最初からデザインすることも可能です。最初からデザインしてテンプレートを作っておけば,オリジナルの請求書が作成できます。

Excelを使って請求書を作成するメリットは,一度設定すれば繰り返し使える,計算ミスが減らせる,管理が容易で修正や再送も簡単にできる点です。

Excelを使って作成した請求書は,PDF化してメールで送っても良いでしょう。

業務管理ツールを使って作成する

業務管理ツールを用いて作成するケースもあります。業務管理ツールを利用すれば,会計管理から請求書の作成までを一括で管理できるため便利です。

業務管理ツールを使うことで,請求書の作成や管理,追跡までを一元管理できたり,外出先でもアクセスできたり,共有や共同作業ができたりなどのメリットがあります。

一方,システムの導入や維持費がかかったり,インターネット接続への依存度が高まる点はデメリットといえるでしょう。

インボイス制度の影響はある?

インボイス制度とは適格請求書を発行し,保管する制度です。弁護士の請求書もインボイス制度の対象となることがあり,必要な際はインボイス制度に対応しなければなりません。

弁護士の請求書でインボイス制度の影響を受けるケースとは,弁護士がインボイス登録した場合です。インボイス登録をした場合,インボイス制度開始前の請求書の書式を見直す必要があります。

請求書の控えの保管期間

発行した請求書は保管が必要です。適格請求書発行事業者が交付した適格請求書の写しや提供した適格請求書に係る電磁的記録については,7年間の保存が必要とされています。そのため,少なくとも,発行から7年間は請求書の控えを大切に保管しましょう。

弁護士報酬から源泉徴収することはある?

クライアントが

  • 会社に勤めているだけの個人
  • 事業を行っていない私的な立場の個人

等である場合,弁護士報酬に源泉徴収をする必要はありません。

一方で,クライアントが

  • 個人事業主
  • 法人

である場合,源泉徴収を要することがありますので注意しましょう。

請求書はテンプレート化して効率化を!

弁護士は常に忙しく不在がちのため,事務局と連携して効率的に請求管理を行うことが重要です。特に,手書きでの請求書作成は時間と手間がかかるだけではなく,共有や請求管理に課題があります。

請求書の作成業務や管理業務を効率化する際は,業務管理ツールの利用がおすすめです。業務管理ツールを使えば,請求書作成時にテンプレートを利用して容易に作成できたり,共有や管理も一元化できます。

案件は複数人で共有しなければならず,スケジュール管理や請求書の修正など,さまざまな業務をリアルタイムで共有しなければなりません。業務管理ツールを用いて,弁護士の業務や共有を効率化するのがおすすめです。

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